【作家】月岡芳年 Tsukioka Yshitoshi
【作品】魁題百撰相 土屋惣蔵
【時代】明治1年(1868)
【技法】木版
【状態】裁ち有り
【サイズ】約355mm × 239mm
【備考・解説】
戦場における歴史上の人物を選び、解題を付した半身像のシリーズ。芳年の残酷絵(血みどろ絵)の掉尾を飾るもの。戊辰戦争における上野の戦いを念頭に置いて制作されたという説が有力であり、「解題百撰相」の「解」を、自らの斎号「一魁齋」に因んでか「魁」の字を当てている。慶応4年(明治元年)7月から翌明治2年3月の改印を有する。ロジャー・キーズ氏が65枚確認しているが、おそらくもっと多いと思われる。しかし100枚は刊行されなかったようである。
この図は当シリーズには珍しく一滴の血も描かれていない。目の怪しげな光や、きっと結んだ口許から訪れるであろう残酷な状況を想像させるのみである。土屋惣蔵は武田氏の臣で勝頼に仕えた。枠内の解題には、家康に高天神城を包囲された折、援軍をたのまれた勝頼は逆に家康方の膳の城を攻めた。その時土屋惣蔵たちは裸となり民家の古畳を楯として無理矢理攻め、これを世に勝頼の裸責といったという。芳年は畳の内から様子をうかがう惣蔵を描いている。菅原真弓氏によると、上野黒門口で畳を楯に戦う彰義隊士・大矢内竜吾の見立てではないかという。